ミシュニャンガイド

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ミシュニャンガイド うどん⑳ 宮きしめん 本物のきしめんが食べたくてついに熱田神宮を襲撃してしまったねこの物語

 神社と言えば初詣、ほとんどの人が年に1度くらいはお参りしていると思う。だが初詣をする風習のないバチあたりなこゆきにはほとんど縁のなかった熱田神宮。幾歳月ぶりかで足を踏み入れてみた。バチが当たらないか恐る恐る鳥居をくぐり歩を進める。休日ということもあり朝から結構な人出であった。鳥居をくぐる時ほとんどの人が1礼していたのには驚いた。神仏を恐れず無神論が幅を利かす現代の日本人が、ここでは急に信心深くなっているのには見ていて少し気恥ずかしかった。

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熱田神宮鳥居

 ここへ来た本当の目的は「宮きしめん」という宮内にある食堂できしめんを食べたかったからである。こんなことをバラしてしまうと、なんと不敬な奴だ!非国民!とか言われそうなので、まずは本宮へ向かい参拝をさせて頂きました。

 大勢の人が賽銭をポイっと放り投げては柏手を打ち頭を下げていた。本当に投げ捨てるって感じでそれでいいのか?と感じてしまう。もう少し丁寧に賽銭箱へ入れた方がいいんでないかい?って人も結構いた。それじゃ神さんも言うこと聞いてくれないよ!って言いたくなる態度の人もいる。ご利益欲しいなら額を地べたへ擦り付けて煙出るほどお祈りせんかい!と説教1時間くらいかましてやろかと思ってしまった。かと思えば形式通りに長い時間かけて祈っている人もいる。後がつっかえてんだからテメーの頼み事はそろそろ切り上げて後進に道を譲る姿勢を見せてほしい。いろんな参拝がありみんなそれぞれである。

 観光気分で神聖な場所に入るのはいかがなものかとこゆきは考えている。ヨーロッパの教会で見物しながら大きな声でしゃべってヒンシュクを買う日本人沢山いるよね。そういう人は入って行くべきではないと思ってしまう。

 じゃ、テメーはきしめん食うためにここへ入って来たんだろ!トットと帰りやがれ!と言われても宮内で騒いでいるわけでもないし、きちんと参拝も済ませたし問題行動とは考えておりません。きしめん食べたいがためにここへ来たが、ルールは守っているし参拝も先に済ましている。こゆきの願いはただ1つ「ママさんたちと仲直り出来、今までより1層仲睦まじくなれますように」とお祈りした。賽銭は10円である。ママたちと仲直り出来るなら10万円だって惜しくない!叶うならこれから全力で毎日参拝に来ちゃうんだけど。このような敬虔なお祈りを捧げるこゆきは十分ここへ来る資格があります。鳥居の中の神苑は凛とした空気が流れ、きしめんのことなど頭の中から消え去ってしまいそうなほど心が洗われる。

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神苑

 さて参拝はわずか3秒ほどで終わった。参拝の後はメシである!そのためにこゆきはこの地に立っているのである。目的の「宮きしめん」を泳ぐように必死で探した。なんせ宮内は広いし、案内板も見当たらない。

 やっとノボリを見つけて近づいて行った。心の中で「きしめんきしめんきしめんめん!」と唱えつつスダレで囲まれた店内へ突入した。

 結構な客入りである。この時10時半頃だったが半分くらい席が埋まっている。年寄りが多いが若い奴もチラホラいて、注文するカウンターの前でたむろっている邪魔な集団もいた。通れねえからそこドケ!ボケ!と心の中で叫びながら何とかカウンターのババーに注文を伝える。「宮きしめん、大盛り」と言うとババーは不愛想に「850円」と応えた。結構高い!観光客相手だからこんな値段になっているようだ。

 きしめんの店というとまず頭に思い浮かぶのは「名古屋駅ホームの立ち食いきしめん」とここ「宮きしめん」である。超有名どころである。

 「名古屋駅ホームのきしめん」はこれまで何回も食べたことがある。幼い頃はテイクアウト可能であったので、満員の通勤電車の中へ持ち込んで周りに匂いを発散させつつすすったこともあった。今思い返すと周りのサラリーマンたちには非常に迷惑だったろうと苦い思い出が蘇る。帰宅の電車の中できしめんの匂い嗅がされたんじゃ空腹に一層拍車がかかるってもんですね。ご迷惑掛けました。

 対してこゆきはこれまで「宮きしめん」を食べたことがない。そこで今回満を持して初訪問したわけである。ほんまもんのきしめんがどんなものか期待は高まるばかりである。「850円」という値段が少々高く感じても期待通りウマけりゃ文句はない。

 金を払って2分ほど待つときしめんが出てきた。しかしこの店の店員は10人ほどカウンターの中に居たけど、そろいもそろって態度が悪い。手を動かしているのは半分ほどで後は客の顔眺めたりしていやがる。いらっしゃい!おまち!ありがとう!の売り子の基本3用語すら出てこない。多分昼時になると超忙し地獄になるからこんな態度が当たり前になってしまっているんだろう。

 きしめんを受け取ると空いている席を探した。仲良しOL2人連れの近くが空いていたので座って、あらためてきしめんを観察してみた。

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きしめん

 ぱっと見は想像通りのビジュアルである。しかしなんだか麺が分厚いのが気になる。ビロビロを期待していたこゆきは肩透かしを食らったようだ。写真を撮ったり観察しているこゆきを見て、近くのOL2人連れはコソコソと「あのねこミシュニャンの・・・?」とかささやきあっているに違いない。正体がばれてしまう危険性があるので切り上げて味を確かめてみた。

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きしめんアップ

 ビロビロ~~~、ズズッ~!と麺と汁をすする。ビルゴシはそれほどではない。麺が思った通り分厚く弾力があり、どちらかというとうどんに近い。ただそれなりにコシがあり「こんなんきしめんじゃねえ!」とかいっていきなりどんぶりを引っくり返すほどひどいものではなかった。

 いや、ウスウスビロビロはこゆきの個人的な好みであり、本来このぐらいの厚みが本物のきしめんなのかもしれない。

 汁はいい!もう少し薄い大阪うどんの汁の色を期待していたのだが、出汁がタップリ香りいい味を出している。ほぼこゆきの理想通りである。

 具材もホウレンソウ少々、ネギタップリ、かまぼこ、かつお節、シイタケ、アブラゲという黄金の取り合わせである。さすがはきしめんといえば「宮きしめん!」と言われるだけのことはある。

 これで麺がウスウスビロビロだったら毎日朝飯に通うんだけどね。この店は年中無休で朝9時開店となっている。

 不満と言えば値段が高いことと、今回大盛りにしたがこれでも少なく感じた。小食のこゆきが言うのだから、これで並を頼んだら絶対足りないと思う。

 メニューはカウンターの上に貼り出されており、きしめんだけでも何種類もあるようだ。麺類はきしめんだけだが、ごはんや丼もの、揚げ物が付いた定食も用意されている。本日はノーマルのきしめんにしたが「冷製宮きしめん」や「ざるきしめん」といった魅惑的なメニューも揃っている。今度来たら冷たい奴だね。楽しみ。

 店の中(といってもスダレで囲まれているだけだが)は当然エアコンはなく、夏は結構居心地が悪いかも知れない。ハエも飛んでくる。だがこれはこれで汗かきながら野外で美味しいものを食べる醍醐味かも知れない。

 これで今回の取材は終了したがこの物語は今後も続くのであった。ミシュニャンに休息の時はねえ!明日は先日食べ損ねた「な~まシラスど~ん!!!」で決まりだな!待ってろよ、おまえとおまえはハダカにひん剥いてナメナメしてやる!フアハハハ~~~!!!ムシしてっとひーひー言わしたるさけーのー、待っとけや!