2022/10/10
今日は朝早くからウズウズしていた。何をウズッていたかというと目星をつけていた店を電撃取材する日だからである。
その店には数年前に2回ほど行ったことがある。微かな記憶を辿っていけば「うまかったような~出汁の香りがブワっていたような~」そんな思い出が蘇る。
でもそんなうまそうな店に何故ここ数年行かなかったかというと「店の雰囲気があまり良くなかった」ような気がするからだ。あくまで遠い昔のことなので確信はない。
こゆきは味ももちろん大切だが店の雰囲気をとても重要視している。いくらうまくて大人気店であっても店員の態度がデケ~とこには行かない!これはこゆき本来の矜持である。カッケ~~~!!
そんな店だがもしかするとこゆきの勘違いかも知れない。。もしかすっととても感じのいい店だったのかも。。と考え直す今日この頃なのであった。
それに最近ウッメ~!って言えるほどのうどん食ってないから不満が爆発しそうでもあった。ヤカンで例えるなら「中の湯が沸騰してビヒャーって噴き出す」寸前なのであった。そこで本日恐る恐るこの店を訪ねることにした。
店の開店時間は11時からとなっている。駐車場に車を入れたのが10時57分ごろ。絶妙な時間である。
ところが駐車場にはすでに5台ほど車が停まっており、しかも車の中には人影はなかった。店の入口を見上げると暖簾がパタパタはためいていた。すでに列車はシュッポしていたのであった。
おい、おい、なに勝手に暖簾出してんの??だれがいいっていった???
急いで店の中へ駈け込んで店内を見渡した。席は十分空いていたのでホッとした。
なんせこの店はお昼時になると駐車場は激混みになり、行列さえ形成してしまうほどの魔力を持っている。しかも11~14時半のお昼のみの営業というめんど~なヤロ~なのである。
こゆきはカウンターへ座った。ほんとは4人掛けのテーブル席にふんぞり返ってビールやポン酒で板わさや天ぷらなんかをつまんで、最後にうどんで〆るという黄金パターンを夢見ていたのだが、祝日の超人気店で席を独占する勇気はなかった。。こゆき気がちっちゃいから。。
それに今日はベントレーで来ているのでおササを吞むなんてバチ当たりなマネは出来ない。涙を流しながらカウンターへそっと腰を下ろした。
早速おばばが注文を取りに来た。このおばばは数年前にいた人なのだろうか。あの時の悪い雰囲気を醸し出していた一員なのだろうか。どうも違うようだ。とても低姿勢な接客で気持ち良かった。
店内を見渡して店の雰囲気をクンクンしたが、もう嫌な感じはどこにもなかった。多分数年前に感じたオーラはたまたまだったのだろう。
やさしいおばばに「天ぷらうどん1,000円、半ライス100円」と申し渡した。おばばは「へへ~っ!」畏まりつつ下がっていった。
一応書いておくがこの店の1番人気はみんな大好き「味噌煮込みうどん」である。ほとんどの人がそれを注文する。
こゆきも今回の調査にあたって「味噌煮込みうどんにしよっかな~、どうしよっかな~」ととても迷った。
一時は「味噌煮込みうどんにかしわと上天ぷら付けて~あとで汁にごはんぶち込んでおじやにしてペロっちゃおうかな~、ペロペロしちゃうぞ!」と心は決まりかけていた。
でもぉ決意なんてすぐに変わるもの!やっぱり頭の中をブワ~~~ンとくる出汁の香りが占領した。この出汁の香りは味噌煮込みじゃ出せねえ!やっぱうどんだぜ!!こう国会で議決されたのであった。
出汁中(うどん出汁中毒患者)には何を言っても無駄だという事例である。こゆきは「うどん出汁愛好会」というものがあれば恐らく会長に推挙されても憚りないといった心境である。
メニューの一部 ビールはお一人様一本限りらしい
ここは麺類以外ない!かつ丼などといった気の利いたものなどないったらない!
こゆきが店に入った時の先客は7人ほど。当然こゆきのうどんちゃんはそいつらの後出てくるものと思っていた。ところが5人ほどゴボウ抜きして10分くらいでこゆきの料理がやって来た。
味噌煮込みより普通のうどんの方が早いんだね。恐らくぶち抜かれた奴らは地団太踏んで悔しがっているに違いねえ!あわれな味噌中毒患者とみた!
出てきた天ぷらうどんと半ライスはそれはそれは神々しい姿ですんばらしい香りに包まれていた。まさにこれから始まる饗宴をいやがうえにも盛り上げてくれる。それでは順番に紹介しておこう。
まずごはんだが、量は適量半ライスだけのことはある。大食いが苦手なこゆきにはちょうどいいサイズだった。見たところ固めに炊かれており、うどんとの相性は抜群だろうと予見された。
しかも泣かせることにうまそ~な漬物の小鉢付きである。この漬物はただ者ではないことがすぐ分かった。
こゆきは京極はんのように「もうこれ以上泣かせんといてや~!」と心の中で叫んだ。
京極はんを泣かせた漬物
天ぷらは上天ぷらにしようかと迷ったがこの天ぷらで十分そうだった。タネはエビ、ナス、サツマイモの3種。
イモの天ぷらは好みでないがまあ早いとこヤッちまえば済むことだし、なんせナスはうれしい!なす天大好き!
それにそこらの店だと大概最初からうどんの上に天ぷらを乗せて出してくる。客が自分の好みのタイミングで天ちゃんを汁にひたすという楽しみを奪っている。そこが悲しい。
でもこの店では別皿提供である。また泣かせよる・・きょ、京極はんでっか??
またまた京極はんを泣かせる逸品
こゆきはまず素のままの汁をジュルりたい!まずは油の入っていない混じりっけなしの純粋な出汁を楽しみたい!この密かな楽しみを邪魔する奴はなんびとたりとも許せない!!!
最後にうどんの紹介に移ろう。。ここのうどんの汁の色は果てしなく濃い。見るからに醤油いっぱい入ってます!って顔をしている。塩分満タンっす!とも主張している。
こゆきは元来大阪うどん教の信者である。あの透明なのにブワっと来る出汁の香り、さして醤油を使っていないのに湧き出てくる旨味、まさにうどんの本場は大阪にあり!と信じ切っている。
毎週大阪行ってうどん食いたいくらいである。そんくらい大阪うどん教を狂信している。
しかしここのうどんもい~い香りが湧き上がっている。予想通り期待出来そうだ。今日に限っては大阪うどん教から脱退することにした。
うどんの具はかまぼこ、水菜、のりの3種のみだが、別皿でねぎ、大根おろしが提供されている。これで十分である。だって~後ろにはてんちゃんが控えてんだもん!!
黒~い!課長さんのみたい
饗宴の始まりじゃ~~~!!!
さてそれではとまずはサツマイモの天ぷらの抹殺から開始した。言っておくが別にサツマイモが憎いわけではない。
更に付け加えればこゆきには好き嫌いはねえ!ザザ虫や蚕の蛹だって食べるくらいだ。ただ天ぷらに関してはイモ類はい・ら・ね・え!サクッとイモを地上から消滅させた。
次に薬味のつもりの大根おろしをごはんへそっと移した。うまそうなうどんに大根おろしぶち込んだら風味が変わっちまう。そんくらい中坊でもわかるよな!
一応しつこいけど説明しておく。こゆきは大根おろしはこの世で10番目くらいに好きです。ざるうどんやおろしうどんにタップリの大根おろしなんてよだれがでてくらあ。そんくらい大好き!でも今回はどいてもらった。
そしてねぎをうどんにパラった。これでうどん捕食準備完了。まんず汁をチュルった。うっめ~!想像通りの味だった!!
少々醤油の角は立っているがショッパイほどではない。出汁がし~~~っかりモワワワワ~ンと鼻腔をくすぐる。
ここでふと気が付いた。なんかのりが邪魔!そっこーで退治してやった。うどんにのりは合わない!のりはラーメンだけにしてね。
麺は細目。形が不揃いであり手打ちであることは一目瞭然。柔めだけど最後の切れる寸前に歯応えを感じる。かなりの名人が打ったことの証明だ。
いや~この麺にこの汁、たまりませんな~。。。ここにきしめんが入っていたらさぞ極楽でしょう。。でもこの店きしめんないから。。。
ある程度麵と汁をたんのうしたところで残りの天ぷらに取り掛かった。まずナス天をガブッた。
いい揚げ具合だ~!コロモは薄くてカラッとしてて中身のナスはシットリジュワジュワ。歯で噛むとナスから甘い水分が出てくる。ナスはシットリ、こゆきはウットリだ。
さて天ぷらの王様とも呼ばれるエビをパクった。ナス同様うまく揚げてあるが、どことなくエビが生臭かった。
恐らく一般ピープルの下等な舌なら気付かないと思うが、ミシュニャン調査員のこゆきの鋭敏な味覚の前では丸裸だった。このエビわたぬきが甘し!とはいえシッポまでカリカリしたことは当然である。
天ぷら類は途中うどんの汁に漬けたりして楽しんだ。こうすることによりうどんの汁にも油分が行き渡り後半のうどんを別の味で引き立ててくれる。
麺をあらかたバキュったところでおもむろにごはんを取り上げた。そしてごはんをそっとうどん汁に沈めた。これから饗宴の2部が始まる。
大体において麺類の残った汁にごはんを入れるという行為は下品とされている。でもこれほどうまいものがあるだろうか。体に悪いとわかっていてもごはんと汁を鯨飲する。痛快である!
今回はこれに激ウマの漬物が加わっている。やめられないとまらないのカッパえびせん状態であった。最後はどんぶりナメナメのドンナメの儀式を執り行い全て終了となった。
ゲスの極
長々と書いてきたが、実質店の滞在時間は約20分。そのうち饗宴の儀は10分であった。8番目くらいに店に入り、1番目に店を後にした。えらいでしょ?
代金は総額1100万円。当初考えていたより安く済んだ。キヨシよ!次回こそは天もりと板わさでサケった後味噌煮込みのどんぶりをナメってやるからよお!こゆきのナメ技はイタイよ!!!
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